歩き遍路を終えて

2014.3.11 7006  横浜泊

2014.3.12 957

 

<後日談>忘れた数珠袋が戻って来た

5番札所智光坊で気がついた数珠袋。



たぶん、83番札所如意輪寺に忘れたと思ったがとりに戻る元気も勇気もなかった。

広島に戻り、女房に数珠袋を忘れて来たことを話した。

母からもらったもので四国遍路・スペイン巡礼・高野山町石道・熊野古道といつも同行していたもの。

忘れたこともご縁と思っていたが、ずっと気になっていた。

女房は、FACEBOOKに書いてみたらという。

半信半疑で修一君のページに数珠袋のいわれを書き、忘れてきた83番の如意輪寺だと思うことも書いた。

もちろん修一君には、もし、近所に行くようなことがあれば、立ち寄ってみて欲しいと書き添えた。

1時間もしないうちに、池田さんという女性からメッセージが入ってきた。「見つかりました」と。

余りの速さに驚いた。

そしてその方は、その日のうちに、修一君に届けてくれていた。

まったく知らない方が、余りにも早く見つけたとの連絡。ただただ驚くばかりだった。




83番札所は、88ヶ所霊場の中でも不思議なお寺であった。

実は、このお寺は順番に回ると距離・位置から考えて半日のロスが出ると判断。

パスしたお寺だった。

私の気持ちの中に、後ろめたい気持ちがあった。

パスして84番札所に行くと、幹線道路から2km以上ある急勾配の場所にあった。

途中は吹雪。

そして、お寺に着くと出かける住職の奥さんに出合った。

「お参りさせていただきます」「はい、どうぞ」という会話があったにも関わらず、本堂は施錠してあった。

電話をしても誰もでない。

しばらく待っていたが帰って来る様子もないので、あきらめて来た急勾配の道を下り小木方面に向った。

あの時に、どうしてもっと確認をしなったのか後悔ばかり。

小木に着き、87番札所の阿弥陀院へお参りした時に、今度は納経帖に朱印を押すときに、

何を思っていたのか、83番札所に87番の朱印を押してしまった。

自分の横着をいさめられているような気分になった。

実際、83番札所に行くときも道に迷いとんでもない方向に行くところだった。

自分の弱さを痛感した出来事だった。

しかし、見つけて届けてくださった池田さんはもちろんのこと

佐渡の皆さんの気持ちが伝わってくるようで、旅の苦労もふっんた出来事だった。


<佐渡88ヶ所巡礼歩き遍路をした感想 >

1.                   お寺について

・88ヶ寺のお寺でも、遍路については温度差があるようで、観光寺・檀家寺の対応の差が大きいような気がした。

・特に、無住のお寺は入っていいのか迷う場合もあり、お寺自体が古いので立て付けが悪く、簡単に開かないお寺もあり泥棒と間違われる のではないかと心配した。

2.                   MAPについて

・販売している本が、基本的に車を対象に作られているので、歩き遍路の立場からすると、遠回りをしていくことになるので、不便を感じた。途中からは、地図を地元の方に見せて近道を聞いたが、あまり頼りにすると迷う危険性があるので、参考程度にして歩いた。

MAPに距離等が記載してないので、次のお寺への所要時間が分からない。宿をとったりして、予定を立てるには不便を感じる。

3.                   標識について

・標識はほとんど皆無に等しく、行政が作った標識は、有名なお寺に限られているような感じだった。他のお寺については、幹線道路からの入り口に標識・看板等がないので、行き過ぎることも多々あり、観光寺としての意識をした案内が必要であると感じた。

4.                   納経をするにあたり

・鍵のかかっているお寺が幾つかあり、お寺の方がいる場合は、お願いをして本堂を開けていたが、誰もいないお寺については、納経自体が出来ない場合もあった。

・納経する場合、朱肉等を入れた箱の所在が分からず、お寺の本堂の中を探すことになり、お寺の方の不信感をかった場合もあった。

・朱肉自体が、お寺によってはかなりの劣化がみられ、きちんと字が見えるような押し方が出来ないお寺が多かった。

・納め札を入れる箱がないお寺も多く、賽銭箱に入れるか、納経の印の入った箱に入れる場合があった。

5.                   道路事情

・佐渡島は、車社会なので道路はかなり整備されているが、歩く人の道路整備は遅れているので、新しい道は苦を感じなかったが、古い道は側溝の上に蓋をしたりして歩道を作っているので、非常に歩き難く。また傾斜をとっている部分があるので、非常に歩きにくかった。

・トンネルなどは、歩道を大きくとっているので、大変歩きやすく。2000近い距離でも、30分間くらいかけて歩いても苦痛は感じなかった。空気もよどんでないのが助かった。

・お参りするお寺が、旧道にある場合があり、幹線道路を歩いていると、通過する場合があり、かなり慎重に歩く必要があった。

6.                   四国と比べて

・四国の場合は、完全にビジネス化されている。お寺にしても遍路によって経営が成り立っている場合が多いようで、番外のお寺に行くと経済状態の差がはっきり分かる。納経所も僧侶が待機していて、その場で納経帖に書いて朱肉を押してくださるので、感動は大きい。

・四国と比較しても仕方ないので、佐渡の良さを考えると、整備されてない部分、道を歩いている人・民家に行って聞くことになるので、それだけコミュニケーションがとれて良い。ただ、山野で誰にも会わない場合、立ち往生してしまう。四国のようなステッカーを貼るのも一案。

・四国のように、お接待という風習がないので、人との接点が少ないように感じた。

7.                   その他

・宿の問題は非常に困った。

・宿のガイドブックもないし、観光案内所に聞いても適切な資料はなく。特に閑散期の宿探しは大変。電話をしても、断られることが多かった。通年民宿の案内ガイドBOOKがあると良いのではないでしょうか。

・基本的に遍路なので、観光気分で来ていないので、料理も旅館並みにたくさん料理を作る必要はなく。結局食べ残すことが多かった。料金を下げるか、遍路料理として、もっと粗末なもので良いのではないか。

・昼食を食べる場所がなく、また、途中に店がないところが多く困った。前泊の宿に、むすびを2個お願いしたが、保険所の関係で持ち出しが出来ないと断られる場合もあった。JAが時々ある場所もあった。水分については、比較的自販機があり、困ることはなかった。

・途中、トイレがないことが多く、もしある場合は、事前に告知標識があると助かる。閉まっているトイレもいくつかあった。

8.                   感想

・一番助かったのは、バス停のそばにある待機所。風雨を避けることが出来て大変助かった。

・人情厚いところだと感じることが多かった。積極的に行動はしないがお願いすると、必要以上に親切にして頂き、うれしかった。

・歩いていて、車の人に頭を下げると必ず、会釈をしてくださった。

・新潟日報の記事のおかげで、佐渡ではある程度の知名度があり、毎日、数名の方から「がんばって」「新聞にでていたひとでしょ」と励ましの言葉をいただいた。